shin’s notebook

ふらふらと適当に

アメリカ式BBQをいただきにフリーマン食堂を訪問

少し前にたまたまInstagramを見ていたところ、カンテサンスの岸田シェフがアメリカ式のBBQが食べたくてフリーマン食堂へ伺ったところ、大変美味しかったといった旨の投稿をされていました。

私自身、以前にディスカバリーチャンネルか何かでアメリカで行われるBBQ大会の出場者に密着するといった番組を観たことがありました。その中で彼らはBBQへの強い執念とプライド、誇りについて熱く語っており、彼ら一人一人オリジナルの香辛料や調味料で味付けを行い、数時間から一晩をかけて(※1)焼いていました。それを観て私はアメリカにおけるBBQというのは彼らアメリカ人にとってのカルチャーとも言えるものなのではないかと感じました。

(※1 100度〜120度といった低温で時間をかけて燻し焼き上げるのがアメリカ式BBQだそうで"Low & Slow"なんて呼ばれるみたいですね。それにより香り高くジューシーでホロホロなお肉になるそう。アメリカ式BBQについては下記が詳しくて面白かったです。)

https://www.americanmeat.jp/trd/publications/book/pdf/bbq_guide_book.pdf

 

そんなこともあって、アメリカ式のBBQに強い興味があったのもあり美味しいアメリカ式のBBQがいただけるお店があると知るともはや行く以外の選択肢はなく、行きたくて行きたくて堪らず、春の陽気も気持ちいい日に友人3人と行ってきました。

 

さて、そんなフリーマン食堂は幡ヶ谷にあります。

幡ヶ谷駅を出て3分ほど行った西原商店街の中でした。

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アメリカンでサブカル感も漂う雰囲気ある店構えです。

あまり店内の写真を撮るのは好きじゃないので撮っていませんが、店内も同じような素敵な雰囲気です。

Technics SL1200でアナログレコードがBGMでかけられていて、スピーカーがJBLなのもあってかBGMも雰囲気あって良かったです。

 

12時開店のところ13時前ぐらいにお伺いしたのですが、満席とのことで席が空き次第電話いただけるとのことでそこから40分ほど幡ヶ谷の周りをぶらぶらしたり公園のようなところで散っていく桜なんかを眺めて時間を潰しました。

にしても桜というのは散ってもなお美しいものですね。

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席が空きお店に入りましたが、まずはやはりビール!

春の陽気の気持ちいい日にお昼から飲むのは至福のかぎり

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ビールは業務用冷蔵庫があり、そこに並べられているものを自由に取っていくスタイルでしたが、10種類以上のクラフトビールがラインナップされていてビール好きとしてはテンション上がりました。どんな味やスタイルかを店員さんに聞いてもしっかり教えていただけて、選ぶ楽しさあって良かったです。

私は手前の金色の水玉なラベルの

Stillwater New Gold

なるゴールデンエールを選びました。

エールらしい深いコクと藁を思わせるモルトの味わいをホップの爽やかな香りを軽く漂わせることで深みはありながらもドリンカブルでモダンな味わいでめちゃ美味でした。

 

3人で行ったので食事の方は色々頼めましたし、岸田さんが投稿されていてそれはそれは美味しそうだった目当てのパストラミビーフサンドとスペアリブも頼めました。

 

豚バラのBBQ

ホロホロになるまでは仕上げられておらず、適度にかみごたえがありながらも超ジューシーな仕上がりでした。(とはいえ、めちゃくちゃ柔らかい)

豚バラてどうしても脂身の感触があるものだと思うんですが、長時間のスモークで脂が落ちているのかそんな感触もクドさもなくメチャクチャに美味しかったです。

かかっているBBQソースも超美味しくて、お肉に擦り込まれている香辛料との相乗的な美味しさの反応がヤバいです。

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パストラミビーフサンド

これはヤバかったです、異次元の美味しさなんじゃないかて程で

見た目ではかなりジャンキーな味わいそうに見えるんですが、それが食べると肉の強い旨味に辛すぎないけどくせになる程度の塩味、そこにしっかりとしたスモーキーさに時折香るブラックペッパーで綺麗に味がまとめ上げられており上品なジャンクに仕上がっていました。ホロホロ感やジューシーさも素晴らしくてコンビーフの超上位互換のような味わいです。思い返すだけでヨダレが溢れてきて食べたくなりますw

マスタードは酸味を効かせつつ刺激もやや強めで、パストラミの味の強さを先行しすぎるのをうまく抑え込み、一体感を生み出し美味しさをより味わいやすくしているように感じました。

バンズも一見普通に見えますが、あえて強い味を持たせずに、でも適度に爽やかさを演出するために小麦の香りはあるというもので、パストラミとマスタードとバンズを一緒に頬張った時の味わいは、更なる一体感が醸成されておりサンドとしての完成度も非常に高かったです。

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スペアリブ

これもヤバかったです、美味しさ(旨味)のピーク感では豚か牛かの差があるのでパストラミビーフに軍配が上がるんですが、まさに食べたかったアメリカ式BBQの真骨頂のようなものをいただけて感動しました...

"肉を振るとプルプルとしている、肉は紙のように割くことができ、少し齧りつくだけで骨から簡単に肉が外れる、しかし振っても骨から肉が外れることはない"

これが抑えられた、素人目には完璧としか思えない肉の柔らかさにジューシーさに脂の落ち方でした。

香辛料も辛い刺激から香り高い爽やかさまで複雑な香味全てが肉と調和しており、パストラミビーフ即物的な旨味とすると、こちらはその対局にくる深みのあるものであり、これはアメリカ人が矜持を抱いて然るべきものであり、抱くには充分過ぎるものだと思いました。料理における味わいとしては即物的な旨味に位置づけられるものなのでしょうが、そうとは思わせない料理の深みがあるのは本当に凄いと思います。

まさに、アメリカのカルチャーの一つを食べるということを介して体験できているようで、物凄い美味しさ,旨さと相まって感動でした。

そして、同時にこういった類の味わいを突き詰めカルチャーとしてしまえるのはアメリカ故であり、経済というダイナミックなところにおいてはアメリカには勝てることはないのだろう、と食という一見縁もないようなところを介してアメリカのGreatさを感じてしまいました。

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ブロッコリーの炒めとプルドポーク

ここまでガッツリ目の肉が続いたところでこのブロッコリーの炒めは箸休め(?)的で良かったです。

バターの風味をしっかりと効かせて炒められていました。

プルドポークはやはりジューシーでパサつきは皆無、旨味も強く美味しいですが、プルドになっているので香辛料の刺激が淡くなるのは避けられないところなのでソースがあれば良かったかなと思います。

正直ここまでの肉に対する複雑なアプローチを見るとこのお皿は肩透かし感があるのは否めないです。ブロッコリーの炒めの上に折角プルドポークが載っているのにその二者をうまく繋ぐ調味料や、それぞれで持ちうる味わいも無かったですし。合っていないわけではないんですが、もっとこの二者のフュージョンが観てみたいと思わされるわけです。何かソースで繋ぐことができればプルドポークの香辛料の淡さもカバーできそうですし。

しかし、付け合わせはただの付け合わせであり、付け合わせには技巧をあまり凝らさないのがリアルのアメリカの食文化なのだとすれば、なんとなくですが納得のいくところではあります。そうであるのであれば、これもまた何にも染められていないアメリカの食文化を味わっているということであり、その点に面白さは感じます。

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スモークドブリスケットの煮込み

見た目はトマト煮込みのように見えますが食べた印象では、これは間違いなくガンボだと思います。

セロリ、タマネギの香味が効いていてどこかアーシーな風味もあり、まさに郷土料理といったいい意味で華のない落ち着いた素朴な味で美味しかったです。素朴ではありますがしっかりコクも深みもありました、この辺りはスモークドブリスケットの風味がいい仕事をしているんだと思います。

以前、とあるハンバーガショップでガンボをいただいたことあるんですがそれはアーシーさなんかはなくて香味もそれ程、良く言えばモダン、悪く言えば奥行きに欠き薄い、まぁパッとしない印象でした。

それが、今回いただいて郷土料理的な美味しさを味わえて、ガンボてこんな味でホッとする美味しさなんだとリアルと思われる食文化を体験できているようで楽しく美味しかったです。

これは、次お伺いすることがあればもう少し最初の方で頼んでしっかり味わいたいですね。

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ざっといただいたものと感想でした。

BBQは物凄く美味しいですし、アメリカのリアルな食文化に触れられるという意味でもいいレストランだと思います。

私が案内されたテーブルはその前までアメリカ人の方が誕生パーティされてたそうで、そういうことができるし、店主の方はアメリカ人の方ですがとてもフレンドリーで周辺に愛されているレストランなのかなと思えて微笑ましかったです。

 

手間ひまかかっていそうだし、ボリュームもかなりあるのに三人で飲み食いして6000円/人だったのでコスパも凄いと思います。正直この美味しさでこの値段は安いでしょと思っちゃいますw

ワクワクできるし美味しいしでお肉好きだったりアメリカ式BBQに少しでも興味が湧いたりしたならぜひ行かれてみてほしいです。