shin’s notebook

ふらふらと適当に

タルトフランベとアルザスワインをいただきに行ったら悶々とした話

2022ゴールデンウィークいかがお過ごしでしょうか?

 

私はどうせゴールデンウィークにどこか行っても混んでるでしょ…と思い、途中平日になっている月曜と金曜は特に休みも取っていませんでした。

そんな月曜日は三連休明けで翌日からはまた三連休、もう朝から今日はピンで上がって軽く飲んで帰ろうと意気込んでいました。

そんなわけで、どこに行こうかと考え、以前より行ってみたかったタルトフランベなるフランスはアルザス地方の郷土料理と、豊富なアルザスワインを売りにされている代官山のコテ・フーさんに行くことにしました。

以前からアルザスワインは仄かなクールさとお淑やかなフローラルな風味が良くて作り手を問わず好みと感じることが多かったのが以前から行きたかった故のような気がします。

今回は代官山からは電車一本ですぐに帰れるという気軽さもお店選びに手伝いましたがw

cote-feu.com

 Facebookのメッセージから予約や席の空きが確認できるとのことで、会社のお昼休みに"18時ごろから行けますか?"と問い合わせると"席の用意大丈夫"とのことでもうワクワクしていました。

 

そんなワクワクを胸に代官山駅から10分程の道を心躍らせながら歩きお店に着きました。

お店の方はオーナー兼ソムリエの男性、その奥様(?)と思しき女性、助っ人のような男性の三人が店内を回されていました。

 

とりあえず一杯目は、以前に飲んでいたく美味しかった作り手であるLaurent Bannwarthのものがあればいいなぁなんてメニューを見るとゲヴェルツトラミネールがありました!!

しかも、以前飲んで美味しかったのも2019のゲヴェルツトラミネールだっただけにこれがまた飲めるとは、と幸先いいじゃんなんて思いつつ頼みました。

すると、女性の店員さんから"これはよくあるゲヴェルツトラミネールとは少し違いライチの香りはなく変わったものですが、いいですか?"と。

そんなだった記憶はないけどビンテージとか諸々の違いなのかなと思いながら頼み出てきたのがこれ。

Laurent Bannwarth Triptik

そう、これゲヴェルツトラミネールじゃないんです…メニューには確かにGewurtztraminer Natureと記載あったんですが。(Triptikボトルで市場売価7千程するのにグラスで1280だったので、仕入れ値が幾らかは分からないにせよ絶対に何かおかしいとは思いますが、ボラれてる訳でもないので特に何も言いませんでした。。。)

はい、この時点でタイトルから薄々勘付かれる方もいらっしゃるかもですが、これを始まりにこのお店ヤバくない?みたいなのが最後まで続きます()

 

それはそうと、このひょんなことから出てきたTriptikはかなり美味しかったです。

詳細は以下リンクの説明読んでいただくのがいいと思いますが、2017,18,19のビンテージのブレンドで、ブドウはリースリング, ピノ・グリ, ゲヴェルツトラミネールを使用したもののようです。

ローラン・バーンワルト / トリプティック NV | WANDERLUST WINESHOP

口に含んだ最初はふわりとした口内を撫でるような甘み、果実(特にアプリコットかな)を思わせる骨格はしっかりしており瑞々しくナチュラルな解像感を持った酸味、それらが合わさることで醸成されるソフトな質感を持ちつつも凝縮感もある甘酸っぱさが特徴的でした。特に、恐らくオレンジワイン(この作り手のゲヴェルツトラミネールはオレンジワインだったはずなのでそのブレンドであるならば遠からず近からずかと)に仕立てられていることから得られていると思われる、果皮を齧った時に感じるような抜けきらないくすみ感と共に感じる植物らしさが美味しかったです。くすみ感も、パッとしない"くすみ"にするのではなく、ブレンドから得られる味の飽和からくるギスギスした質感と合わさり複雑性へ昇華されているのは秀逸でした。熟成を行っているワインのようでしたが、この熟成はそんな複雑性を包容する味わいの大きさを作るためなんでしょうかね?ともあれ、個人的には根菜類に鴨の臓物なんかと合わせてみたいワインでした!

女性から説明されたゲヴェルツトラミネールとは変わっているというのはそれはそうだし、ゲヴェルツトラミネールも入ったブレンドだけど、ソムリエいるお店でこれはまぁ"えぇっ"てなりますよね…てか、ソムリエが責任もって説明してサーブしろよて話です。

 

で!!!ここからが衝撃なんですよね!

一杯目頼むのと併せて鯛のカルパッチョお願いしていたんですがこれが待てども暮らせども出てこないんですね!!

途中待つこと10分ぐらいでサービスなのかチャージなのかよく分からない空豆の窯焼きが出てきました。店内照明抑えめでブレてますけど、まぁ空豆が焼かれてるだけなんで。

で、そこからカルパッチョはどうしたん…?て思いながら空豆をチビチビ食べてたらついに1時間が経過するわけです。そう、1時間経ってもカルパッチョが出てこないんです()

 

空豆も尽きて一杯目のワインも尽きてカルパッチョもこないので、とりあえず二杯目のワインをいただくことにしました。

二杯目はリースリングが飲みたいなと、メニューを見ると2人の作り手のものが載っていました。どちらにしようか決められなかったので、"リースリングらしい白桃のような香りの麗しい方はどちらですか。"と女性の店員の方の訪ねると分からなかったようでオーナー兼ソムリエの方に振られました。

ここからがまたクソなんですよね…

オーナー兼ソムリエの方から返ってきた答えは

"2人とも師事した醸造家は同じだが片方は兄のような人柄でもう片方は弟のような人柄です、弟のようなのの方が遊び心があります"と。

確かにね、人柄が味に繋がるのは分かりますよ、けどさすがにこの答えじゃ分からんでしょ…わりと呆れて空いた口が塞がらなかったです。

まぁそんなこんなで結局は女性の方にとりあえずのリースリングならこっちかなと思います、と言われたものをなんだかモヤモヤしながらいただいたのがこちら。

Bott Geyl Alsace Riesling Jules Geyl 2019

メローな温もりを感じる甘さに、スモモを思わせる酸味、時折感じるフローラルさ

正直もっとクールで白桃を感じるリースリングが飲みたかっただけにこれは期待はずれすぎて残念…ソムリエの方の言うお茶目っていうのは温もりのことを指してたのかね

ソムリエの方がもっともっとまともなら避けられた選択だったような気がしてならないですね。

 

ところで、話をカルパッチョに戻しましょう。カルパッチョはまだ来ません!

 

しかも、そんな間にオーナー兼ソムリエの訳のわからない言動が繰り出されるのです。

・隣にいらっしゃった男女ペアの女性の方とワインのことを話して気に入ったのかワインを一杯サービスし始める

・常連の方と思われる3人組の席にしゃべりに行き、座り始めなんかよく分からない言葉をそれなりの声量で発し始める

別にこれでちゃんと料理がサーブされて、ワインの相談も乗っていただけているならお店の粋なサービスだったり、そういうスタイルなんだなと思えたりするんですけど、基本的なことが出来てないのにこれは本当に意味がわからなかったですね。

しかも、その間料理のサーブに滅茶苦茶に時間がかかっていることを、女性の店員の方は物凄く丁寧に謝ってこられ、少しでも気分良くしてもらおうとお店を回す中の出来る限りで気遣いをされるわけです。なのに、オーナー兼ソムリエの方といえば時折りヘラヘラした笑いを浮かべながらすいませんと言うだけで、しかも挙句の果てには女性の方へお前も謝れと言い出すのです。女性の方が本当に気の毒でなりませんでした。

オーナー兼ソムリエはほぼ何もしないどころか仕事を増やして、女性の方と助っ人の方でお店をなんとか回している状態でした。ほんと何この店…

 

そして時間は流れ1時間と20分程が経過したところで突如タルトフランベがサーブされました。サーブしていただいた女性に"カルパッチョは飛んだのですか?"と聞くとオーナー兼ソムリエに確認が入り"注文は入っているがまだ作っていない"とのこと。暖かいものがサーブされてから冷たいカルパッチョをいただくなんて興醒めもいいところなのでもうキャンセルにしていただきました、申し訳ないですが。

 

そんなこんなでいただいたタルトフランベはタマネギとベーコンのもの。

アルザスではこれがタルトフランベの定番だそう。

これはそこそこ美味しかったです。生地から溢れる火の通ったオリーブオイルの香りが良く、ベーコンもしっかりと燻された風味がありました。生地のサクサク感も良かったです。けど、今ひとつ異国情緒の漂う味わいはなく、その点は期待しすぎだったかもしれません。

先のリースリングと一緒にいただくと、オイリーさを酸味ですっきりさせ、フローラルさがオリーブやタマネギの香りと反応して美味しかったです。憎いですが、ウォームなテイストもタマネギや生地から引き出された甘さと合っていました。

もっと15分とかでサクッとこのタルトフランベがサーブされてリースリングと一杯やれていたらどんなに楽しかっただろうかと思わされてならなかったです。

 

最後を締めくくるのはこれでした。

フランス産ホワイトアスパラガスの釜焼き

これでフードが最後て衝撃ですし、欲を言えばもっと色々食べたかったですが、ここから追加したら日が回る前に帰れるかすら怪しそうだったのでやめました。

そんなアスパラガスに折角だから最後にワインを一杯合わせていただこうと女性の店員の方にそれほど大きな期待はせずにワインを合わせてくださいとお願いし、いただいたのがこれです。

Laurent Barth Muscat D'Alsace

結論から言うと、このホワイトアスパラガスとミュスカの組み合わせが凄まじく良かったです。正直この組み合わせをいただいている瞬間だけはただただ脳内が幸せで満たされてこれまでのイライラを忘れられました。

ホワイトアスパラガスがそれはそれは甘くジューシーで、そんな甘さにこのミュスカの持つ干し葡萄が放つような花の蜜をも思わせる凝縮された甘さ、しかし焦げるような熱さまでは感じさせず飽くまでもクールさをギリギリに逸さない、凄まじく完成度の高い甘さが恐ろしくマッチしていました。

ただ、それだけではどうしても甘さが先行し過ぎてしまい、アスパラガスの持つ青く植物らしい面がやもすれば消えてしまうところを、ミュスカの持つやや強めのミネラル感で合わせにいっていました。しかも、そのミネラル感はアスパラガスだけではジューシーさでかき消されそうになるところを、アスパラガスに振りかけた粗挽きのお塩でミネラル感を引っ張り上げるといった奇跡的な相性の良さでした。アスパラガスもミュスカもお塩も全てがどの要素も捨てられることなく調和していたと思います。

そして、やはり思うのです。これがサクッと味わえたならどんなに幸せかと…

 

なんとか程よく幸せになれたので、そろそろお会計しようと店員さんに声をかけるタイミングを見計らっていたところ、あのオーナー兼ソムリエがまたしても愚行に出ました。

隣にいらっしゃった男性2人組のお客さんの前に立って、"お待たせしてしまってすいません、でも大変なのは私の方なんです、コロナ禍に2年間で人と話す機会がほとんどなくなってしまい自分がおかしくなっちゃったんです。それで今は何も出来ないんです。けど、頑張ってお店再開したんです。"と、プロ意識のかけらもない謎すぎる弁解をしていました。

こんなの聞いても、"いやいやいや何も出来ないなら開店延ばしなさいよ、やるからにはプロとしての自覚を持ってよ"、としか思えないですけどね。

 

とまぁそんなこんなで2時間滞在して空豆4つ、ピザみたいなの1枚、アスパラガス1本だけ食べてお店を後にしました。

 

お腹なんて膨れる訳ないので、カップヌードル買って帰りました。

お湯を注いで3分でこの美味しさ、素晴らしいなとひとしきり。

 

ワインのラインナップにクオリティはアルザスのみで揃えているディープさと相まってよかったし、食事も味そのものは良かったと思います。ワインとの相性も良かったですし。

けど、あまりの接客のレベルの低さというか論外なレベルなのはほんとに腹立たしいです。

それさえ良ければサッと軽く食べてワイン1,2杯飲んで帰るみたいな軽い使い方で通いたいのに。心底残念でならないです。

 

いつかまともなお店になることを願ってこの記事は終わりとします。